!久しぶりだな」
「おーう、榛名じゃーん。久しぶりだね」



中間テスト真っ只中の帰り道。

中学が一緒だった、榛名元希に会った。


中学の時は、結構榛名と仲が良かった。
榛名が荒れてた時とかは、そんなに頻繁に喋ったりはしなかったけど。
それでも、シニアの事とかポツポツ喋ってくれて、個人的には結構嬉しかったりした。

高校入ってからは、あんまり喋る事もなかったよなぁ…。



「榛名はテスト平気なわけ?」
「明日って現文だろ?あんなん勉強しなくたってヘーキだし」
「日史もあるでしょ?」
「日本史なんて知らねー」



何時もみたいに、ニカッと笑う榛名。
その笑顔につられて、私も笑ってしまう。

今日の榛名は、特にご機嫌だ。



はもう帰んのか?」
「うん。私は一応明日のお勉強しますからー」
「あ、テメ、このヤロー」



憎まれ口を叩きながらも、やっぱり顔は緩んでる。

廊下で見かける事は会ったけど、その時もこんなに笑ってなかったな。


遠くで榛名を呼ぶ声がして、「あ、ヤベ」と榛名が反省を感じさせない声音で呟いた。




「んじゃ、。またな!」

「おーう」





何にせよ、榛名の機嫌がいいのはいい事だよね。







++++++







「で、榛名はに声かける以外、特別な事とかは言ってこないの?」
「うん」



教室の黒板をキレイにしながら、秋丸と榛名の話題をする。

何か、これも久々だ。
そもそも、秋丸と榛名の話をするのなんて、同じクラスになった時くらいだ。


久々に話し掛けられたあの日以来、榛名はよく話し掛けてくるようになった。
大した話題もないのに、日常の些細な話をお互い思いつくままに話したりした。

中学の時、みたいに。



「そもそも、の口から『榛名』って聞くの、久しぶり」
「私もさっきそれ考えたよ。なんかさ、榛名最近やけに機嫌よくない?」
「あー…そう言われれば、そうかも」
「でしょ?」



柔らかく笑う秋丸を見ると、ふと思う。
榛名抜きでも仲よくなれただろうな、秋丸とは。

秋丸との最後の日直、今日も完璧。
しかも秋丸は、私の黒板消しまでクリーナーにかけてくれた。

ホントいい奴すぎる。



「でも、ここ最近話す事もなかった榛名が話しかけてきたって事は…なんかに言いたい事とか、あったんじゃないのかなー」
「全然交流なかったのに?」
「うーん…元中で集まろうとか?」
「それだったら、先に秋丸に言ってない?」

「そっか。じゃあ、案外ただと話したかっただけかもよ」



予想外の言葉に、私はニッコリ笑う秋丸を、ただ見る事しか出来なかった。

電気を全て消した秋丸の、あっ、と言う声が、薄暗い教室に響いた。





「そう言えば、榛名、今日誕生日だった。に、おめでとうって、言ってほしかったんじゃない?」





……なんだソレ…。


ぼんやりと、黒板に書かれた5月24日の文字。
へー、榛名って5月生まれなんだ。
あんまイメージじゃなかったなぁ…何て言うか、夏っぽい?

…うーん、何か、変な感じ。

携帯を開いて、探してみる。
あ、か、さ、た、な、は…あった、“榛名元希”。
中学の時は結構メールしたけど。
もう1年以上、メールとかしなかったな…どうしよう。


……とりあえず、帰ろうか…。









雑に持ち上げた鞄を肩にかけて、昇降口に向かう。

靴を履いて外に出れば、運動部独特の活気溢れる声がする。
秋丸も、もう練習で出てるだろうな。
榛名も投げてるだろうなー。

……なんか、秋丸のせいで、私、榛名ばっかだ。


榛名は、中学の時の友達。
今も、友達…かな。

でも何か、高校入ってからは、あんまり友達って感じがしないなー。


……榛名元希は、私の友達なんでしょうか。





「ダメだ、よく分かんない」

「は?」





あまりにタイミングよく聞こえて来た声に、私の身体は大袈裟に反応した。

振り返るとそこには、予想通り榛名がいて。
タオルを持った榛名が、不思議そうにこっちを見ていた。



「あぁ、榛名…」
「何だよ、今帰り?遅くね?」
「今日日直だったから」
「あー…そういや秋丸と一緒だったんだってな」



此処最近同様、大した事ない話をする。
でも何か、今までとは違う。

友達なのか、他の何かに変わったのか。
自分でもよく分からない感情を抱いたまま榛名と接するのに、違和感を感じる。

……榛名元希は、本当に、私の友達なんでしょうか。



あ、そうだ。





「榛名」
「ん?」

「えーっと。誕生日、おめでとう」

「……おう…」























照れた榛名の表情

微かに熱を帯びた自分の頬


榛名の生まれた日に、


何かが生まれそうな、予感




ねぇ、榛名…


榛名は、私の、“友達”なのかな?








榛名お誕生日おめでとう!遅くなったけどおめでとう!!
……とても祝ってるようなお話じゃないですね(文才無さ過ぎる…)
相変わらず消化不良な文章になってしまいました。

暫く連絡を取っていなかったりすると、「あれ、友達って言っていいのかな?」とか思いませんか?
特に男子だと…色々難しかったりするんじゃないでしょうか(推測/笑)
ヒロインは少し形が違って、秋丸に言われて、急に意識しだして、自覚する…みたいな感じです。
……でも、お誕生日夢ではないですね(撃沈)

とにかく、榛名お誕生日おめでとう!
今後も変わらぬワガママさと、野球への真っ直ぐな気持ちで突き進んでくれ!


2008/5/25

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