「ねぇ」
「ん?」
「今日、本山君…誕生日だよね?」
「………そう、だ、な…」
ケータイの日付を見て。
思わぬカタチで、自分の誕生日を知った。
なんて事のない、一日だったはず、だ。
最近仲よくなったと、今日も喋って。
それで、今日も普通…だったはず、だ。
「つか、何で知ってんの?」
「企業ヒミツ…?」
「何ソレ」
「えー……面白いのに」
「ってホント、ヘンだよな」
ホント、すげーヘンな奴。
何処までもマイペースで、なのに気遣い出来て。
オレの身近には、いないタイプだよな。
「ま、普通にアレ、山ノ井君から聞いた。序でに、左利きって事も」
「はぁ?ヤマちゃん?つか、何で左利き?」
「山ノ井君とは、たまに喋るよ。凄く、たまにだけど」
「…へぇ……」
に、オレ以外で喋る男がいるなんて。
……何となく、イラッとする。
「で、左利きは?」
「んー…なんか、山ノ井君に『左利きが好きだー』って話したら、本山君の事、言ってて」
「ふーん」
内心、ドキッとした。
そりゃ、全国に左利きなんてそれなりにいるのはわかってる。
野球やってる奴の中にも、結構いるし。
でも、実際オレ、左利きだし。
「あ、話違ったね。本山君の誕生日」
「おー」
「じゃあ、何かプレゼントしなきゃね!」
「ん、マジか」
「何か、左利きに関するモノとか!」
……なんでそうなるんだよ。
ホント、の思考回路は解析不可能だ。
結構話すようになったってのに、の思考は毎度毎度、オレの予想の範疇を越えている。
「何がいいかなぁ…左利き用のハサミとか?」
「いや、別に持ってるし。しかもハサミなんてあんま使わねーし…」
「うーん…じゃあ、何がいいのかなー。左利きぃ……」
左利きから離れる気は、まるでないみたいだ。
何か、オレが左利き以外に何もない奴みたいじゃねーか、コラ。
ま、らしいっちゃらしいけど。
あ、ヤマちゃん…こっち見てすげー笑ってるし。
この野郎…覚えてろよ!!
ぐるぐる頭を無駄に働かせる目の前のが、パッとオレのほうを向いた。
突然目が合って、オレはまた、ドキッとする。
「そうだ、ちゃんと言ってなかったね」
「は?」
あーあ、今のオレ、絶対カッコ悪いし
またヤマちゃんに、笑われる
思いきって、に、
『左利きの彼女になってくれ』っつったら、
…オッケーしてくれないよな……
本山誕生日夢です!!
一応、前作の『はじめまして、本山です。』の続き物になってます。
折角の誕生日夢なのに、発展途上な感じですみません…。
(こんなのばっかりだなぁ、自分は…)
でも、ヘンな奴とか言いつつ、惹かれてく本山とか可愛くないですか…?(え)
私の中の、『本山は恋には不器用であれ!』と言う、よく分からない想いからこうなりました(笑)
……いや何か、すみません、ホント…。
このシリーズは…いつか完結させたいですね、本山の為に…。
本山の左利き話は、いつか書きたいと思ってました。
……まさか、こんな形で書く事になってしまうなんて…(笑)
またもうちょっと“左利き・本山裕史”を前面に出して行きたいと思います(笑)
とにかく、本山さんおめでとう!
モトヤン大好きだよ!!
2008/6/2