え???

モチロンすっげー好き!
だってアイツ面白いし、いっぱい笑うし。
アイツと一緒にいるとすっげー楽しんだよね!


でも、『付き合う』とかで、考えた事ないなー。
だってそう言うのとは、ちょっと違くね?
もっと可愛い子とかいっぱいいるしさ、そう言う子に告白されると、オレすげー嬉しいし。

でも、が誰かと付き合うとかなったりしたら、オレ、イヤかも。

だって、一緒にいらんねーんだろ?
の面白いとことか、すっげー笑った顔とか、そういうの全部違う奴のモンになるんだろ?
それってすごくイヤだ。

最近もちょっと女らしくなってきたからなぁ…誰かと付き合ったりすんのかな?



ヤダなー…、ずっとオレの傍にいないかなー。


……これって、もしかして、すげーワガママ?










誰が嘲笑う、青すぎる僕等を。

― On that day










「おっし!着替えたら三橋ン家に行くぞー」
「田島!ケーキ買ってこうぜ、ケーキ!」
「水谷、それお前が食いたいだけだろー…」
「なっ…!」
「図星かよ、水谷…。なー、田島!」

「……おうっ!」



家とかじゃなく、でもなく。
こうやってトモダチに祝ってもらうのって、初めてだ。
なんか、こう、違和感?

イヤなんじゃなくて、何かヘンな感じだ。



「三橋ー。さっさと着替えろよー」
「あ、阿部君っ、ちょ、っと、待って…!」



三橋はもたもたしてんなー。
さっさと着替えないから、阿部に怒られるんだって。
いや、阿部はすぐ怒るんだけどさ。

そんな2人をじっと見てたら、何故か阿部がじろりとこっちを見てきた。



「な、なんだよ、阿部…」
「…………いや…」



何故かすげー間があってから、阿部は一言だけ呟いた。
すぐに三橋のほう見て、お前ン家行くんだからお前がさっさとしなきゃ意味ね-だろ、とか言いながら。
なんだよ、今日の主役に喧嘩売ろうとしてんのか…?
いや、阿部だってそんなヒドイやつじゃねーよな。
オレ今日悪い事一つもしてねーし。



「田島、行くぞー」
「ん?おう!」
「今日の主役は田島なんだからー」



花井と栄口の声がして、気が付いたら阿部も三橋も部室から出て行ってた。

よっし、今日は三橋ン家で、がっつり食うぞーっ!!!





++++++





「おめでとー」
「田島、おめでとー」
「た、田島君っ、おめで、とう…!」

「みんな、ありがとーなっ!!」



みんなでワイワイやるのはすげー好き。
だから、今年は三橋の誕生日の時みたいに、みんなに祝って欲しかった。

でも、こうやって騒いでても、ふとの事を思い出す。

去年は今日みたいに練習あって、終わってから家帰って祝ってもらって、その後窓からンところに行った。
はここ最近の誕生日は、いつもプレゼントをくれない。
から貰えるもんだったら、オレ、なんでも嬉しいのにさ。
「何あげればいいかわかんない」とか言って、は何もくれなかった。

今年のトコ行ってたら、なんか貰えたのかな…。



「田島君…?た、食べない、の…?」
「ん?あぁ、三橋。オレ、さっきから食ってるぜ!」
「そう、かな?」
「あったりめーじゃん!オレの誕生日だぜー」
「田島、お前食わないとこっちの肉全部阿部が食っちまうぞー」
「は?オレ?」
「阿部が食うならオレも食うし!」
「あ、水谷ィーっ!?」



みんなで笑って、みんなで騒いで。
こんな誕生日、すげーいいじゃん。

彼女とかいた時は、彼女が祝ってくれたりしたけど。
なんかこう…彼女は可愛いし不満も無いんだけど、と一緒にいたほうが楽しかった。

だから、誕生日の時とかも含めて、何かあるとの家に行ってたんだと思う。


今年も帰ったら、窓叩いてみっかなー。
それとも、遅いから寝てるかな?

どっちにしろ、の顔見なきゃ、オレの誕生日が終わらない気がした。



「田島」



珍しく、阿部がオレを呼んだ。
オレは思わず、一歩引きそうになる。

だって阿部だぜ?



「なんだよ阿部」
「これ」



阿部に差し出された茶色の封筒。
オレはそれをまじまじと見た。

金かな?





「金一封とかじゃねーからな」
「(え、阿部心読んだ?)じゃあなんだよー。この茶色い封筒は」
「茶封筒はしょーがないだろ。家にこれくらいしかなかったんだから」
「は?」

「とにかく、これは田島に。ここじゃなくて、家帰ってから見ろよ」




最後はオレに押し付けるようにして、阿部は座ってたところに戻る。


なんだよ、阿部。

つか、これなんだよ。
なんで家で見なきゃいけねーんだ?

オレの頭の中は、茶色の封筒とでいっぱいだった。





++++++




「ただいまー!」
「悠、楽しかった?」
「おう!すっげー楽しかった!」
「一応ウチでもケーキ買ってあるけど、食べるー?」
「やった!食うーっ!」
「じゃあ着替えてきなさーい」
「んー」



ケーキも嬉しいけど、先にに会わなきゃ、と思った。
やっぱに会って喋んないと、なんか、こう、しっくりこない、みたいな。

オレは部屋に入って電気つけて。
カーテン開けて、窓開けて、の部屋の窓を叩く。

いや、叩こうと思った。





「………?」





の部屋は真っ暗で、がいる気配もない。
いつもこの時間帯のは、風呂あがりで好きな音楽聴きながら、ダラダラ過ごしてるのに。

なんで、なんで今日に限って。

はいないんだ…?


ケーキ食っても、風呂入っても。
の部屋は、全然電気がつかない。

ふと時計を見ると、もう0時近くなってた。



「なんで、は帰ってこないんだよ…。今日、オレの誕生日なのにさ…」



カーテンを開けたまま、ぽすっとベッドに寝転がる。
もう寝ようかどうしようか、このままと喋んないで寝るのはイヤだ。

そんな事を考えてたら、パッと窓の外が明るくなる。

が、帰って来たんだ。





!」





オレはガバッと起き上がって、の部屋の窓を叩く。

するとすぐに、の部屋の窓は開いた。
今日もと喋れるんだ、と思って、ちょっとホッ…としかけた。


上着を着込んだ、を見るまでは。



「………どこ、行ってたんだよ…」
「悠一郎?どーしたの?」



は、どっかに出かけてた。
まるで、オレの誕生日なんてなかったみたいに。

なんだか、すっげームカツク!

だって、オレの誕生日なのに。
特別な、日なのに。





「どこ、行ってたんだよっ…」

「何処って…クラスの男子に誘われて、星、観に行ってたの。見晴らしのいい場所教えてくれてさ、結構見えたよー」





クラスの、男子。
その単語が、オレの頭ン中でぐるぐる回る。

が、オレ以外の奴と、出かけてた。


イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ。

ぜってーイヤだっ!!



のクセにっ…」
「はぁ?何よ、悠一郎。何か言いたい事あるわけー?」



ちょっとムッとしたようにこっちを見たに、更に腹が立った。

なんでだろう、は別にオレの彼女とかじゃないし、どこで何しててもいいはずなのに。


すっげームカツク…!!!







のバカッ!!」

「え、ちょ、ゆういちろ…」


「お前なんて、なんて、大っキライ、だっ!!」







オレは一通り叫んで、窓を乱暴に閉めた。

キライだよ、誰かのモノになってるなんて。
オレはぜってー許さない。

大っキライだ。



オレはもう寝ようと、ベッドにどさっと寝転がった。
目をつぶっても、の顔がチラついて、無性にイライラする。

そーいえば。

阿部から貰った茶色の封筒、何入ってたんだ?
起き上がって、カバンをあさって取り出してみる。

書類とか入ってそうな封筒に、何が入ってんだよ。



開けて、見た瞬間。

オレは固まった。









「な、ん、だよ…」



涙が出てきた。
男は泣いちゃいけないと思うけど、でも、泣いた。

のバカ。
隣の家の女とか、お前しかいねーじゃん。

オレ、にすげーヒドイことした。
ホントは、祝ってくれてんのに。
すげーヒドイことばっか一方的に言って、オレ、サイテーじゃん。

それにオレ、祝ってもらえないで怒ってたか…?

が誰かと出かけたのが、許せなかったんじゃん。


それって、オレ、が好きって、コトじゃねーの?


今更気付いた自分の気持ちに、悲しくなってきた。

明日、謝ろう。
んで、オレの気持ち正直に話さなきゃ。


、ごめんな…。







冷静になった(らしい)田島君…そしてとてつもなくワガママ且つ超嫉妬です。
展開がベタすぎて、ちょっと悲しくなってきました…(涙)
折角田島君誕生日当日アップなのに、すっげー暗いですね…。

序でに、私の阿部君の使い方はどうかと思う(笑)
なんかたまには、(三橋君以外で)誰かの為に何かしてる阿部君ってのを見てみたくて…。

明日は救済措置とも言えよう、最後のお話です。


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